WCAG 2.0に準拠した固定レイアウトのEPUB出版物を作成することはできるかもしれませんが、2.1で追加されたリフロー要件により、最新バージョンの規格への準拠はさらに困難です。
次の表は、固定レイアウトを使用すると達成できないかもしれない一般的なレベルAおよびAAの達成基準の一部を示しています。
達成基準 | WCAGバージョン | 問題点 |
---|---|---|
1.1.1 非テキストコンテンツ(A) | 2.0+ |
コミックやマンガなどの画像ベースの固定レイアウトでは、代替テキストや説明では画像を通じて伝えられるストーリーのすべてを表現できないため、通常この要件を満たしません。多くの場合、別のシリアライズされた表現が必要です。 |
1.3.1 情報及び関係性(A) | 2.0+ |
|
1.3.2 意味のある順序(A) | 2.0+ |
コンテンツ要素は視覚的に必要な場所に配置できるため、マークアップ内で論理的な順序が維持されるように常に注意が払われるわけではありません。支援技術を通じてそのような図書を読み取ると、情報や会話が順序どおりにレンダリングされません。 コンテンツが2ページに渡ってレイアウトされている場合に、視覚的に読み取る読者が論理的な読み順ではページ間を行ったり来たりする必要があることがあります。このようなタイプの順序は、マークアップでは表現できません。 |
1.3.4 表示の向き(AA) | 2.0+ |
固定レイアウトのページは通常、特定の方向でレンダリングされるように設計されており、コンテンツ製作者は、リーディングシステムがその方向でのみコンテンツをレンダリングするように指定できます。 しかし、WCAG 2.0に準拠するには、コンテンツの向きは読みやすさに影響を与えてはなりません。 |
1.4.3 コントラスト(最低限レベル) (AA) | 2.0+ |
固定レイアウトで画像にテキストを重ねると、コントラストが不十分になり、読者がテキストを認識しにくくなる可能性があります。 |
1.4.5 文字画像(AA) | 2.0+ |
文字画像は、ユーザーがフォントを変更したり、固定レイアウトページのデザインを変更したりするのを防ぐためによく使用されます。 |
1.4.10 リフロー(AA) | 2.1+ |
固定レイアウトページではサイズが固定されているので、この達成基準の拡大要件を満たすには、通常、ユーザーはコンテンツを読むために両方の軸(訳注:水平方向、垂直方向)をスクロールしなければならなくなります。 |
1.4.12 テキストの間隔(AA) | 2.1+ |
ユーザーが外観を変更できる場合でも、(訳注:文字間、行間などの)スペースを追加すると、テキストがコンテナ要素やページの境界を超えてしまいます。この場合、はみ出したテキストはしばしば見切れてしまいます。 |