要約
QR(クイックレスポンス)コードは、画像アクセシビリティのベストプラクティスに従うようにします。また、別の方法でもそのリンク先にアクセスできるようにします。
テクニック
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QRコードを明確に区別します。[[WCAG-1.1.1]]
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QRコードを有効化する方法を説明します。[[WCAG-1.1.1]]
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同じリンク先にアクセスできる代替リンクを用意します。[[WCAG-1.1.1]]
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QRコードと背景の間に十分なコントラストを確保します。[[WCAG-1.4.11]]
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簡単にスキャンできるようQRコードは十分な大きさを確保してください。[[WCAG-2.5.8]]
例
よくある質問
- 表紙のQRコードはどうすればいいですか?
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QRコードが表紙または裏表紙の一部である場合は、ユーザーがスキャンをするのに十分な時間、画像を操作できるようにしてください。リーディングシステムは多くの場合、書籍の読み込み中に表紙の画像をちらっと表示するのみであったり、ユーザーの本棚にサムネイルを表示するだけです。
QRコードを、独自のドキュメントに読み順に配置すると、よりアクセシブルになります。たとえば、そのページがQRコードのみになり、すべてのユーザーがスキャンしやすくなります。あるいは、関連した前書きや後書きに組み込めます。
QRコードを表紙に保持したい場合は、表紙画像の説明においてスキャン可能なコードがあることを明示してください。あるいは、表紙画像をスキャンするのに十分な時間アクセスできるように、読み順の一部にします。
解説
QRコードは、人々をWebサイトに誘導するシンプルな手段として、印刷メディアで広く使われるようになりました。ユーザーはURLを覚えたり、モバイルデバイスのブラウザーに手で入力したりする必要はありません。スマートフォンやタブレットのカメラをQRコードに向けるだけで、埋め込まれたURLをスキャナーが読み取り、Webサイトまたはアプリを開いてくれます。
QRコードは現在、印刷された書籍、特に表紙だけでなくコンテンツ内にもよく見られます。一般的な用途として、ユーザーを以下の場所に誘導します。
- 書評
- 著者の経歴、連絡先、ソーシャルメディア、ウェブサイト
- 無料プレビュー、セール、プロモーション
- 同じ著者による、または同じジャンルの他の作品
- 書籍に付随する画像、音声、ビデオなどのインタラクティブメディア
こうした種類のリンクは、ユーザーを印刷物からデジタルへと誘導するために不可欠ですが、読書デバイスが常にWebに接続されているとは限らず、Webリンクを開く機能がない場合もあるため、QRコードは電子書籍でも存在感を増しています。QRコードは、アクセシビリティが備われば、静的なリーディングシステムからユーザーを獲得する効果的な手段です。
QRコードには、デバイスがインターネットに接続されていない場合に明らかな利点がありますが、一般的なグラフィック画像と比べて欠点もいくつかあります。具体的には、次のとおりです。
- 目の不自由なユーザーは、スキャンするコードが画面上に完全に表示されているかどうかを確認できないかもしれません。電子書籍のリーディングシステムでは、ページ区切りで画像が分割される可能性があります。
- 弱視、または色覚に問題のあるユーザーは、QRコードが白黒でない場合、画像がスキャン可能なQRコードであることに気付かないかもしれません。
- ユーザーはコードをスキャンする別のデバイスを保有していない可能性があり、また、運動機能に問題のあるユーザーはスキャンするために2つ目のデバイスを手で持てないかもしれません。
- 画像が小さすぎたり、ユーザーから遠すぎるために、うまくスキャンできないかもしれません。
- コードに慣れていないユーザーや認知障害のあるユーザーは、コードを使って何をするのかを理解するのに苦労するかもしれません。
アクセシビリティに関する考慮事項
アクセシブルなQRコードを作成するには、以下の課題を考慮してください。
- コントラスト
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QRコードは白黒であることが最も一般的ですが、これは必須ではありません。QRコードには任意の色を使用できます。前景と背景のコントラストが十分でない場合、一部のユーザーはQRコードが存在することを判別できない可能性があります。WCAG達成基準1.4.11のコントラスト要件を満たすことは、すべてのQRコードで最低限必要となります。
- 識別
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画像がQRコードであるとユーザーが認識していない場合は、ユーザーはその画像を利用できません。画像の代替テキストに、QRコードが含まれていることを明示してください。弱視のユーザーには、画像が装飾用であると誤解されないように、画像の周囲に枠線を付けて、注意を引くことを検討してください。
- サイズ
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QRコード画像のサイズは、使いやすさに影響します。まず、画像が大きすぎたり小さすぎたりすると、ユーザーはスキャンしにくくなります。画像が小さすぎると、画像がぼやけたり、コードシーケンスが区別できなくなったりするかもしれませんん。大きすぎると、ユーザーはコードを画面に収めてスキャンしにくくなったり、リーディングシステムによって画像が分割されてページ区切りを跨いでしまうかもしれません。QRコードの推奨される最小物理サイズは、2cm x 2cmとよく言われます。デジタルコードの場合、これはおよそ76ピクセルx76ピクセルに相当します(コードがクリック可能であれば、このサイズはWCAG達成基準2.5.5および2.5.8の最低限と高度のターゲットのサイズ要件の両方を容易に満たします)。
- 使用方法(Usage)
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QRコードは一般的になってきましたが、その使い方を誰もが知っているわけではありません。コードをスキャンするための2台目のデバイスがない場合、ユーザーはさらに混乱する可能性があります。その場合、画像をローカルファイルシステムに保存し、専用のスキャンアプリケーションで開く必要があるかもしれません。出版社がすべてのシナリオに対応できるとは限りませんが、QRコードの使い方に関する一般的な説明は、QRコードに不慣れなユーザーに役立ちます。
- その他の方法
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QRコードは、インターネットに接続していないリーディングシステムからユーザーを獲得するのに効果的ですが、インターネットに接続しているユーザーにとってはちょっとした負担になります。ハイパーリンクをクリックする方が、コードをスキャンするよりもはるかに容易であり、これは、コードが見えなかったり、スキャンするのが難しいユーザーにとっては当然です。QRコードをクリック可能にしたり、拡張説明にハイパーリンクを付けることで、ユーザーにとって最も効果的な方法を選択できるようになります。コードに含まれるURLが代替ハイパーリンクのテキストであることがわかれば、ユーザーはそれをコピーしてブラウザーに貼り付けることもできます。
関連リンク
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